進行した(中等度-重度)歯周病,歯槽膿漏の治療は様々!
上の写真は全体的に中等度から重度に進んだ歯周病患者さんの歯石除去前と除去後です。
歯茎の炎症がある程度とれて結果的に歯と歯茎の隙間が出来てしまっています。
何故でしょう?
答えは、歯石を取りきっても歯を支える骨が元には戻らず失われたままだからです(条件次第で戻る場合もある)。
レントゲン写真を診てみましょう。
上は歯石の除去前(術前)です、解りにくいと思いますのですぐ下に歯石も着いていない歯周病の無い20代女性のレントゲンをお見せします。
違いが解りますか?
上の写真では歯と歯の間の黒い三角地帯が大きく、歯の輪郭に沿って白い突起物が見えませんか?これら全て歯石でその影響もあって歯槽骨が溶けてしまっているいわゆる中等度-重度の歯周病です!
20代女性の健全な歯槽骨がみられるレントゲン
さて、以下の写真はその歯周病の歯石を完全に取り去って半年経過した状態です。
かなりすっきりして見えませんか?(保存不可能な状態の歯は抜歯済み)
一言で歯石を完全に取り去ったと書きましたが、そんな簡単に取れると思いますか?
もちろん取れません!
じゃあどうやって取り去ったか?
答えは。。。
歯茎をめくって歯と骨を完全に露出し、マイクロスコープや拡大鏡を使い直視下で取り去ったのです!!
(真実を知って頂きたく、この写真をあえてモノクロでお見せします。)
この歯周外科処置を歯肉剥離掻爬術:OPEN-FLAP-DEBRIDMENT [OFD]といい、メリットとしては歯石を完全に取り去る事が出来る反面歯周外科処置として歯茎を開く結果、炎症をもって腫れていた歯茎は引き締まるために隙間が生じるデメリットもあります。
ただ歯周病が改善する(治癒ではない)事に間違いはありません。
もう一度上の写真をご覧下さい、歯の周囲にある黒っぽい付着物が歯石です。
他の歯科医院のホームページで様々な器具を使って歯茎を開かずに歯石除去治療しているものを散見しますが、果たして歯茎を開かずに可能だと思いますか?
はっきり申し上げます、取りきれてません!取れません!!
ベテラン歯科衛生士や歯科医師がしても歯周ポケット5mm以上の深さに付着した歯石を完璧に、盲目的に取り去ることはできません!!!
従って歯周病は治りません!
正直に申しますが、当院の精密な歯周病治療エキスパート衛生士をもってしても取りきれていない事はあります。しかたありません、どんなに拡大してみようとも歯茎があっては内視鏡でもない限りポケットの奥の奥まで診れるわけが無いんです!!!!
それではもう一人の患者さんを診てみましょう。
ん?前の患者さんと違ってあまり歯石がついてませんね、でも歯茎が退縮して歯の間の隙間がかなり大きくなってますね、、、
下の歯だけ診てみましょう。すごくでこぼこな歯並びですよね。。。
レントゲンも診てみましょう。
やはりレントゲン上でも目に見えて大きな歯石はありません。。。でもあちこち相当な骨が溶けてなくなっているのが解ります。。。これは一体何故なんでしょうか???
歯石や歯垢が着いていなさそうなのにこんなにひどい歯周病、膿漏になるってどういうこと????
レントゲンに写らない細かな歯石が着いているから??それとも。。。
この方にした処置は歯肉剥離掻爬術:OPEN-FLAP-DEBRIDMENT [OFD]に歯周組織再生療法:Guided Tissue Regeneretion[GTR]を併用し、歯の隙間をこれ以上大きくしない処置を施しました。
歯茎をめくった状態、やはりレントゲンに写らない歯石(歯に付着したより黒く見える物)が細かく着いていますね。
直視下で完全に取り去り、歯根を消毒し、再生療法を行いました。
結局二人とも歯石が着いたから歯周病が進行したの?
歯石が着いて、磨けないだけでこんなに歯周病って進行するの??
遺伝???
無いとは言えませんが、
その答えは☟
ずばり噛み合わせです!
噛み合わせの悪さを放置しないで!
上左がこの患者さんが習慣的に噛み合わせている位置、上右が本来噛むべき位置、上右は咬み合っていないのが解りますね?
そう、この方本来噛むべき位置で噛み合わせられないのでご自身で噛み合わせし易い場所を見つけてずらして噛んでいるのです。。。
つまり本来噛むべき位置と習慣的に噛んでいる悪い位置のずれが大きく、噛み合わせる度に大きく歯が揺さぶられているのです!
歯を支えている骨はミネラルを主成分としており、歯を持続的に揺れ動かす力が生じると、そのミネラルが溶けて柔らかくなります←つまり骨が溶けるの意味。
また、揺れが収まればミネラルは再石灰化ます←溶けた骨が治る傾向を示す(しかしこの段階で歯石等が着いて歯根が汚染されていたら治らない)。
従って歯列不整などで歯並びを治す矯正治療が可能なのです。
では二人目の方はどうでしょうか?
上左が習慣的に噛んでいる位置、上右が本来噛まなければならない位置。。。
すごくずれが大きいことがわかりますよね?
つまり噛み合わせが原因で歯周病が生じる、実は歯周病の多くが噛み合わせを原因としている、この状態を咬合性外傷に起因する歯周病といいます。
実はこのことはメディア等では大きく報じられる事はありません、何故なら某歯磨き粉メーカーが「歯磨き粉を使うより噛み合わせを治した方が歯周病は治りますよ」とは言えませんよね?
と同時に原因の噛み合わせ治療という学問は複雑で容易には語る事ができないのです。。。
もちろんこの噛み合わせによる原因と歯周病原菌が同時に存在して歯周病は進行するのです。。。
原因除去をしなければ長く良い状態は保てない!
残念ながら一人目の患者さんは事情により噛み合わせ改善は出来ませんでした。
二人目の患者さんは歯並びと噛み合わせ改善のために歯列矯正治療と、病的に削れてしまった歯の形の回復と審美性回復のためセラミック被せ物の治療もされることになりました。
矯正治療途中の写真です。患者さんにとても頑張っていただき大分歯並び改善してきましたね、後少しで歯並びは整います。
レントゲンも診てみましょう!
上は再生治療後、矯正治療途中のレントゲン、治療前と比較してみて下さい!
上は治療前の全体的なレントゲン
上は再生治療後、最低限必要な箇所にインプラントをお入れした後の矯正治療中の全体レントゲン写真です。
驚く程改善しているのがお解り頂けますか?
残す歯前歯を引っ張りだし、歯間乳頭を作り、技工士入魂のセラミッククラウンを接着するのみ!もう少しです!!患者さんもそれが解るのか辛い治療ですが、楽しみに毎回来院されています。
ということで、この続きはまたご報告させて頂きます。
もう一度申しますが、歯周病治療は
原因除去をしなければ長く良い状態は保てない!
です。
歯周病専門医の歯医者にいってもその先生が噛み合わせを診る事が出来ないとしたら???。。。
噛み合わせはみれても歯周病が治療できない専門医の歯医者さんに通っていたら???。。。
噛み合わせ、歯周病でお悩みの方は是非一度ご相談下さい、必ずやあなたの力になります!
※最終章上がってます、是非ご一読ください!
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院長 健造
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